1.健保組合の4割、検診など保険費減らす 財務悪化で
日本経済新聞 3月31日
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大企業の従業員が加入する健康保険組合の4割で、2009〜19年度の間に健康診断などに使う1人あたり保健事業費を減らしていたことが日本経済新聞の調べでわかった。 医療費の増加を抑えるには従業員の健康増進が効果的だが、健保財政の悪化で支出を切り詰める悪循環に陥っている。高齢者医療費への拠出金を除く健保組合の従業員向け支出は主に2つある。大半を占めるのが医療費や傷病手当金など保険給付。もうひとつが健康診断やがん検診、生活習慣病予防に充てる保健事業費だ。スポーツジムや保養所の利用補助なども含む。従業員やその家族が健康でいれば財務改善だけでなく、生産性向上にもつながる。健康経営を目指すのであれば増やしたい支出だ。
日経新聞は厚生労働省への情報公開請求で09〜19年度のすべての健保組合の財務データを入手。いまの設立条件を満たし、10年前と比較できる1200組合を対象に、1人あたり保健事業費の推移を分析した。平均額は09年度が2万3031円で、19年度見込みは2万3564円。伸び率は2.3%にとどまった。個別に見ると、41%にあたる490組合で減っていた。減少幅はほとんどが1万円未満だったが、全体の1割弱、108組合が1万円以上減っていた。増やした組合でも大半は増加幅が1万円未満だった。支出全体に占める保健事業費の比率も算出した。平均は09年度の5.06%から19年度に 4.47%まで低下。全体の6割強の健保組合で比率が下がっていた。保健事業費を増やしても、医療費がそれ以上に膨らんでいるケースも見られた。
保健事業費の比率が3%未満だったのは09年度の298組合から19年度に333組合まで増えた。この比率が0.52%と最低だった東海カーボンの健保組合は「10%に達した保険料率の引き上げ余地がなく、保健事業を縮小するしかなかった」(佐藤彰作事務長)。別の健保組合は「財政が苦しく、健康診断の費用は母体企業が負担している」と明かす。
保健事業費の比率が最も高かったのは、ジョンソン・エンド・ジョンソングループの19.77%。 1人あたり保健事業費も14万円弱と最多だ。業種別に中小企業などがつくる総合健保組合から06年に脱退し、財務負担が軽くなった。健康経営の意識が高く、21年度には在宅勤務増を受けて1人1万円の腰痛改善プログラムも新設する。保健事業費の増減は健保組合の独自判断で決めやすい。
健保組合の運営を指南するミナケア(東京・千代田)の山本雄士社長は「従業員の健康を守る健保組合の機能が低下すると、企業のリスクになると経営者は認識すべきだ」と指摘し、より戦略的に保健事業費の支出項目を吟味する必要があると説く。健保財政が厳しい中で、保健事業がどのように医療脅減や従業員の健康増進につながっているかを検証する不断の取り組みも欠かせない。
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2.ほうれい線を消すための美顔トレーニング「10秒割り箸スマイル」
NEWSポストセブン(女性セブン) 3月31日 |
マスクをしているからと、気が緩んで口元のアンチエイジングを怠っている人も多いのでは?でも、人から口元を見られない、しゃべらない。そんな時代だからこそ、トレーニングのチャンスでもあるのだ。
ミス・ユニバース・ジャパンでの指導経験もある歯科医師・口もと美容スペシャリストで、『マスクしたまま30秒!! マスク老け撃退顔トレ』(集英社)著者の石井さとこ(77回卒)さんは、口輪筋(口の周りを囲む筋肉。使わないとたるんでほうれい線が深くなるという)を含む顔の筋肉は、どれも細くて薄いため、意識しないとなかなか動かしにくい、と話す。しかしその一方で、口まわりには顔全体の表情筋の7割が集まっているため、口まわりの筋肉のトレーニングを習慣づければ、顔全体が若々しくなるというのだ。
トレーニングに必要なものは、鏡と一膳の割り箸だけ。割り箸を使うのがもったいなければ、普通の箸や歯ブラシなどを代用してもいい。
【1】まず、割り箸を横にして、左右の長さができるだけ均等になるように犬歯で噛んでくわえる。
【2】その状態で、口角が割り箸より上になるように、口角と頬をグーと引き上げて笑顔をつくり、10秒間キープする。その後、表情を元に戻す。
1日1回行えば、早ければ2週間ほどで効果が実感できるという。「表情筋は繊細な筋肉なので、勢いをつけるのではなく、“グー”とゆっくり優しく持ち上げるようなイメージで口角を上げてください。割り箸を噛む力は弱くてOKです。おすすめは、朝の歯磨きの後に行うこと。血流がよくなって、顔のむくみも改善します」「割り箸より上に口角を上げるのがきつい」「笑顔というより泣いているような顔になる」という人は、日頃、笑顔をつくる意識が足りていない証拠。毎日繰り返して、慣れてきたら、キープする時間を長くしてみるといい。
続けるうちに、ほうれい線は薄くなり、マリオネットラインや二重あごも改善するだけでなく、目がパッチリと大きくなる効果も期待できる。「口輪筋のまわりには、口角挙筋や大小の頬骨筋など、笑顔にかかわる筋肉が多いので、口輪筋を動かすと、同時に目元の筋肉も連動し、たるんだ目元がスッキリします。また、意識的に笑顔をつくると、脳は“笑っているということは、私はいま楽しいんだ”と錯覚します。すると、幸せホルモンのセロトニンや、心身を元気にして意欲を湧かせるドーパミンなどが分泌され、ストレスを軽減したり、脳を活性化する働きもあるのです」。
セロトニンは、うつの予防や認知機能の改善にも役立つとされている。1日10秒間、口角を上げて笑顔をつくるだけで、若々しさと健康が手に入れられるのだ。
石井さんは、笑顔は若さと健康を引き寄せる最高のエクササイズだと語る。気持ちが沈みがちないまこそ、マスクの下でも、キュッと口角を上げて過ごしたい。
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3.欧州、もたつくワクチン接種 開始3カ月、市民に不満の声も 新型コロナ
朝日新聞デジタル 3月29日 |
欧州で新型コロナウイルスのワクチン接種が始まって3カ月経った。製薬会社からのワクチン供給が遅れて接種のペースが上がらず、市民には不満が募る。ただ、EUが4月以降に供給量が増えると見込んでおり、各国は接種の担い手の確保などに力を入れ始めた。
フランス北西部オルヌ県に暮らすジャンマリ・グーツさん(75)は25日、新型コロナウイルスのワクチンの予約を取ろうと地元の接種専用ダイヤルに電話した。だが、自動音声で「おかけ直し下さい」と流れるだけ。あきらめて電話を切った。
グーツさんは75歳以上向けの予約が始まった1月半ば以降、2〜3日おきに電話をかけてきた。先日は担当者が電話口に出たが「4月にかけ直して下さい」と告げるだけ。「絶望的な気分だ」と嘆く。フランスで27日までに接種を1回受けた人は約773万人で、国民の11.5%にとどまる。グーツさんは「政府は夏までに全国民に接種するというけれど、とてもできるとは思えない」と語った。
ワクチン不足の主因は供給の遅れにある。EUが加盟国向けに予約したワクチンは、承認済みの4社だけで最大18.6億回分に上る。域内の約4億5千万人を十分まかなえる量だ。だが、各社で供給ずれ込みが相次ぎ、6月末までに計2.7億回分を届ける予定だった英アストラゼネカは1億回分にとどまる見込みだ。アストラゼネカ製ワクチンの接種が一時中断された影響も出ている。血栓が生じる問題が一部の国で報告され、同社製を敬遠する人も少なくないためだ。最終的には問題ないと判断され、多くの国で接種は再開された。しかし、ドイツ紙によると、同社製ワクチンを打つベルリンの接種会場では、警察官や教師らを対象にしていたが、予定していたよりも大幅に少ない人数しか来なかったという。
来月から改善か、人手課題
EU向けの供給は徐々に改善されている。EUによると、供給は1〜3月には1億回分だが、4〜6月に3.5億回分以上に増えるという。うち5500万回分は、1回の接種で効果が期待できる米ジョンソン・エンド・ジョンソン製だ。EUは「夏の終わり」までに成人の7割、2.5億人に接種する目標を掲げる。フォンデアライエン欧州委員長は「生産の拡大に時間がかかったが、供給が増えてきている。目標は達成できる」としている。
増えるワクチンをどう迅速に接種するか、各国は人手と場所の確保が課題になると位置づけている。ドイツでは今後、接種センターだけでなく、最寄りのかかりつけ医でも接種できるようにする方針だ。供給数が増えることもあり、より柔軟に接種が進められる可能性もある。ベルリンでは高齢者や特定職種を優先している運用を見直し、若者にも接種を広げるかを検討するという。フランスはサッカー場など全国100以上の施設を臨時の巨大接種センターに活用する。4月6日には、1998年のサッカーワールドカップ決勝に使われたパリ近郊の競技場「スタッド・ド・フランス」でも接種を始める。
接種を担える人も増やす。政府の諮問機関は今月26日、歯科医や獣医師も接種できるよう勧告。2月末には、接種センターだけでなく、診療所での接種も認めたほか、3月には薬局で薬剤師が打てることも決めた。
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4.やる気あるのかマイナ保険証
日本経済新聞 3月26日 |
マイナンバーカードに健康保険証データを載せ、医療機関での患者の本人確認をデジタル化する取り組みについて田村憲久厚労相が開始を10月に延ばすと表明した。医療データのデジタル化は政権肝煎りの政策である。本気でやる気があるのか、ただしたい。
同省は今月初めに54の病院・薬局で試行を始め、安倍政権の閣議決定に従って月末に正式運用する段取りだった。だが不具合を理由に、土壇場になって延期した。腑に落ちないのは、企業の健保組合などが管理する加入者データが不正確だったという釈明だ。しかしカードリーダーそのものが作動しなかった病院があるという。健保組合に責任転嫁するような姿勢は容認しがたい。マイナンバー制度を担当する平井卓也デジタル相が「半年の遅れを有効に使うのが重要」などと、記者会見で人ごとのように話したのも理解しがたい。釈明をうのみにするなら担当相は務まるまい。
新しいシステムの開始時に不具合が起きるのはやむを得ない。田村氏は非を認め、システム全体を早急に総点検すべきである。保険証のマイナカード化は本人確認の正確さや迅速さを高め、医療機関や調剤薬局でのなりすましを防ぐ決め手になる。カルテや処方箋、健診結果を本人や医師がデジタルデータとしてー覧できるようにする入り口にもなる。誤診リスクを最小化するばかりか、大災害時に既往症や常用薬を正しく把握するのに有用だ。
私たちはマイナンバーの制度設計時から繰り返し実現を求めてきた。ただし医療データは個人情報のなかでも特に機微に触れる。漏洩を許さぬ堅固なシステムが前提だ。保険証カード化は菅義偉首相が官房長官時代に、消極的な厚労省の尻をたたいて着手させた。コロナ接触確認アプリの失態をはじめ行政デジタル化には暗雲が漂ってきた。緩んだタガを、政権を挙げて締め直すときだ。
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5.薬ネット販売規制、最高裁も合憲
毎日新聞 3月19日 |
医療用から市販用に切り替わって間もない薬のインターネット販売を禁じるのは憲法に反するとして、楽天が規制撤廃を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)は18日、「規制に必要性、合理性を認めた国会の判断は裁量の範囲内だ」として合憲と判断、楽天の上告を棄却した。訴えを退けた1、2審判決が確定した。
医師の処方箋がいらない市販薬のネット販売は、最高裁が国の規制を違法と判断し、2014 年に解禁された。ただ、医療用から転用された薬は、医薬品医療機器法で薬剤師の対面販売が義務付けられ、原則3年の安全評価期間はネット販売ができない。最高裁は「電話やメールでの情報提供は、理解の確実さの点で直接の対面より劣るという評価は、不合理と言えない」と指摘。規制対象となる薬の市場規模が全体の1%未満であることも踏まえ「制限の程度も大きくない」 とした。
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