1.歯周病で認知症悪化、仕組みを解明 脳の「ゴミ」ふやす
1月5日 朝日新聞 |
歯周病が認知症の症状を悪化させる仕組みを、国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)、名古屋市立大学などの研究グループが解明した。歯周病菌の毒素がアルツハイマー病の原因とされる脳の「ゴミ」を増やし、認知症の症状が悪化するという。
研究成果が、英専門誌の電子版に掲載された。認知症の6割を占めるとされるアルツハイマー病は、脳の神経細胞の中にアミロイドβというたんぱく質の「ゴミ」がたまり、神経細胞が徐々に死滅することが原因と考えられている。研究グループは、アルツハイマー病を発症するマウスに歯周病菌を感染させて、歯周病ではないアルツハイマー病のマウスの脳と比較した。5週間後、歯周病のマウスでは記憶をつかさどる海馬でアミロイドβの量が約1.4倍に増えていた。さらに、記憶学習能力を調べる実験でも、歯周病のマウスでは認知機能が低下していたという。
名古屋市立大学の道川誠教授(病態生化学)によると、歯周病のマウスの脳内では、歯周病菌から出ている毒素や、免疫細胞が細菌を攻撃するために出す色々なたんぱく質(サイトカイン)が増えていた。それによって、アミロイドβが作られる量が増えたと考えられるという。道川教授は「歯周病の予防や治療で、アルツハイマー病の発症や進行の抑制につながる可能性がある」と話した。
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2.抗がん剤 廃棄738億円 残薬活用が急務 年間推計
12月31日 毎日新聞 |
使い切れずに廃棄された抗がん剤は、2016年7月からの1年間で738億円に相当するとの推計を、慶応大の岩本隆特任教授(経営学)らがまとめた。社会保障費の抑制が課題となる中、医療費削減のため残薬の活用が急がれる。
慶応大は国立がん研究センター中央病院と共同で、同病院の抗がん剤の平均投与量を基に、抗がん剤ごとの廃棄率を算出した。さらに各抗がん剤の市場規模のデータから廃棄額を計算すると、抗がん剤の廃棄額は合計738億円に上ると推計された。
廃棄額が大きかったのは、アバスチン(99.3億円)、オプジーボ(90.7億円)など。瓶入りの液体の抗がん剤は患者の体格によって投与量が異なり、1瓶を使い切れない場合もある。しかし1回開封した瓶は、細菌が混入する可能性があるとして、薬が残っていても廃棄するのが一般的だ。一方、瓶の残薬を別の患者に活用した場合、細菌の混入を防ぐ器具のコストなどを考慮しても、560億円の薬剤費を減らせると試算した。廃棄額が年間10億円を超える16薬剤に限定し、規模の大きい病院のみで実施しても528億円の削減効果があるとしている。抗がん剤の市場規模は5年前に比べて1.5倍に拡大している。岩本特任教授は「薬剤が高額化する中で、安全性を担保しながら無駄を削減する努力が必要だ」と話す。
厚生労働省は注射用抗がん剤などの残薬を活用するための安全対策や手順を定める指針を今年度中に作成する方針。
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3.歯科口腔保健推進室が「省令室」に昇格
12月22日 日本歯科医師会 |
政府は本日12月22日、現在訓令室である歯科口腔保健推進室を省令室に昇格することを閣議決定しました。
本室は、平成23年8月施行の歯科口腔保健の推進に関する法律のもと、国民保健の向上に寄与するため、歯科疾患の予防等による口腔の健康の保持の推進に関する施策の総合的な推進に向けて、基本的な事項の策定、財政上の措置、全国の口腔保健支援センターの普及等の役割を担っています。日本歯科医師会は、同室がこの役割を確実に果たすためには、厚生労働省内の各部局はもとより、内閣府、文部科学省、経済産業省等、関係省庁との調整、連携が欠かせないとして、同室が司令塔としての役割が果たせるよう、訓令室から省令室への昇格を、平成25年以来の国への「制度予算要望」の中に取り上げてきました。
特にいわゆる骨太の方針2017において、「口腔の健康は全身の健康にもつながることから、生涯を通じた歯科健診の充実、入院患者や要介護者に対する口腔機能管理の推進など歯科保健医療の充実に取り組む」と明記されたことを踏まえ、本年6月28日には堀憲郎会長から直接厚生労働大臣への説明と要望も行ったところです。今回の閣議決定により、これらの努力が結実したことについては、共にご尽力頂いた日本歯科医師連盟をはじめとする関係方面、並びにご理解ご支援を頂いた関係各位に感謝申し上げると共に、今回の昇格により、省庁間における横断的な連携や地域包括ケアシステムの一層の推進に向けて、同室が大きな役割を果たし、我が国の歯科医療行政の充実につながることを期待しております。
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4.出生数2年連続で100万人割れ 94万1千人見込
12月22日 朝日新聞デジタル |
2017年に国内で生まれた日本人の子どもは、前年より約3万6千人少ない94万1千人の見込みとなった。厚生労働省が22日に公表した人口動態統計の年間推計で分かった。100万人割れは2年連続で、統計を始めた1899年以降で最少となりそうだ。一方で死亡者は増え、出生数を引いた自然減は過去最多の40万3千人になる見通しだ。
自然減は11年連続で、40万人は長野市や宮崎市など中核市の人口に相当する。16年から約7万人(22%)増えており、減少ペースが年々加速している。出生数は、1970年代前半の年200万人台から減少傾向が続き、16年に約97万7千人と初めて100万人を割った。これまでの少子化の影響で20〜30歳代の女性の数が減り続けているのが主な要因で、今後も出生数は減る見通しだ。女性が一生で産むと見込まれる子どもの数を示す合計特殊出生率も、回復傾向にあるものの16年は1.44で人口を維持できる2.07を大きく下回る。
死亡数は09年から増え続けている。17年は前年より約3万6千人多く、戦後最多の134万4千人となりそうだ。国立社会保障・人口問題研究所は、出生数がピークだった47〜49年生まれの「団塊の世代」が25年にすべて75歳以上となることなどから、死亡数は40年ごろに170万人近くに達し、自然減は90万人を超えると推計している。
一方、17年に結婚した夫婦は前年より約1万4千組減って60万7千組となりそうだ。離婚は約5千組減って、21万2千組と見込まれるという。
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5.40円ルール見直し了承
12月13日 厚生労働省 |
中医協総会が12月13日、厚労省内で開催され、歯科の診療報酬点表に規定される「特定薬剤」と第10部「麻酔の薬剤料」の算定方法について、現在は40円と定めている控除額を一般的な薬剤料と同額の15円に引き下げる方向での見直しを了承した。
このいわゆる「40円ルール」と呼ばれる歯科特有のルールは、現行では、1回の処置または手術に使用した薬価が40円を超える場合に、「薬価から40円を控除した額を10円で除して得た点数につき1点未満の端数を切り上げて得た点数」となっている。さらに、薬価が40円以下である場合は算定できない。麻酔の薬剤料についても同様。
厚労省は控除額について、昭和47年に事務手続きの簡略化などの観点で、当時の10円から40円へ引き上げたことを説明。また、今回の見直しに当たっては、歯周病の治療時に用いる歯科用抗生物質製剤が特定薬剤の算定の約7割を占めており、47年当時は使用されていなかったもので状況が異なっていることなどを理由に挙げた。現在「特定薬剤」の中で最も算定回数が多いのは、「ペリオフィール歯科用軟膏2%」で43.5%。次いで「ペリオクリン歯科用軟膏」の22.2%となっている。 |