KOYUTimes(校友会から在学生向けに発行している会報) 2015 Oct./no.11より転載します。
学生諸君にとって「ふるさと」はどこですか、と聞けば『生まれ故郷です。そこに両親がいます』と答える人が大部分だと思います。
私には、三つのふるさとがあります。
一つはもちろん生まれ故郷です。遠く離れた故郷には今は親戚縁者もほとんどいません。でも忘れられない場所です。
もう一つは結婚して新しい生活をスタートさせた場所でしょう。まだ、学生諸君は無理かもしれません。
そして三番目のふるさとこそが私にとって最も大切なふるさとです。歯科医師を目指して学んだ母校・日本歯科大学です。苦しいときや嬉しいとき、いつも母校は私とともにありました。学生時代の仲間や、指導をいただいた多くの先生方一人ひとりを忘れることができません。
ふるさとの
訛
りなつかし停車場の 人ごみの中に そを聴きに行く
ふるさとの山にむかいて言うことなし ふるさとの山は ありがたきかな
いずれも大正時代の歌人・詩人でもあり、わずか26歳の若さで肺結核により亡くなった石川啄木が故郷の岩手県のふるさとを想い詠んだ歌です。
私はこの歌の"ふるさと"を母校・日本歯科大学だと考えてきました。そこで何の違和感もありません。日本歯科大学が存在するだけで、安心ですし、他の歯科大学・大学歯学部と違う"らしさ"を感じてきました。
日本歯科大学校友会は、諸君が歯科医師になるために学び、切磋琢磨し、やがてわれわれの仲間になってくれることを信じています。全国の校友が皆さんを支援してくれるはずです。
多くの友と語り合い、厳しい試練に耐えて進む学生諸君にとって、必ず母校が忘れられない"ふるさと"になるでしょう。